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研究室レター

芸術文化とこども

捧 公志朗教授
専門
美術

 都市生活では、日々、多様な芸術活動が行われています。美術館や博物館、音楽ホールなどの公共空間をはじめ、ギャラリーやカフェなどの街の小スペースにおいても、様々なアートイベントを目にします。美術を研究専門領域とする私自身も、そうした社会にセットされた芸術文化活動に関わる機会が多くあります。大学教員としてこどもの造形表現に関する教育に携わる一方で、現代美術を扱うギャラリーでの展覧会のキュレーション、美術教育を普及するためのワークショップやイベントのファシリテート、地域創生のためのデザインワークなどがそれらに当たります。様々な場所に出かけ、様々な方々と関わりながら、「美術」がもっている社会的な機能と可能性を発見し、またそれを具体的に創っていく実践が、私自身の研究活動だと考えています。

 こうした私自身の研究活動は、授業のカリキュラムにおいても反映されています。とりわけ3、4年生の「専門研究ゼミ」の活動は、美術館や博物館の見学により都市環境にセットされた文化的装置の在り方をリサーチすることや、学外でのアート作品制作や子育て支援のワークショップへの参加など、社会的な実践アプローチにも取り組みます。こうした活動は、直接的に保育技術を修得するためのものではなく、芸術表現によってこどもが育つ社会の文化的土壌をより豊かなものにしていくための素養を身につける学びであると捉えています。今後もゼミの活動を通じ、様々なかたちで芸術文化とこどもの育つ環境の接続について探究をしていきたいと思います。

 写真1:ギャラリーnohakoでの企画展示(祐成政徳展「余白」/2021年)

写真2,3:中野区立中野東図書館で行ったゼミ活動

(黒板アート作品《森のなかの本》の制作/2022年)