検索

研究室レター

こどもと絵本

松﨑 真実准教授
専門
保育学(幼児教育分野)

 皆さんが絵本を読んだのはどれぐらい前ですか。今日、1か月前、半年前、ずっと前、思い出せない、答えは様々でしょう。絵本は子どもだけのもの、そういう考えであれば、思い出せないほど絵本が遠くなってしまっていても仕方がないかもしれません。
 ネット情報誌のNIKKEI The STYLEが読み継ぎたい絵本の調査を読者に行い、その結果を紙面に載せていました。『ぐりとぐら』、『はらぺこあおむし』、『おおきなかぶ』が上位3位。誰もが思い出せるお話ではないでしょうか。そして、これらの名前と同時にぐりとぐらの黄色いカステラ、はらぺこあおむしのチョコレートケーキやさくらんぼ、おおきなかぶの真っ白でおいしそうな姿を思い浮かべるのでは。私たちの脳はお話全てを記憶できるわけではありません。そのため、自分が感銘を受けた場所だけが長期記憶として残っているのですね。『絵本の記憶、子どもの気持ち』(山口雅子著 福音館書店)という本の中では、覚えていなかったはずの絵本に再度触れた学生が忘れていた記憶を次々と思い出す様子が書かれています。実際に絵本を手掛かりとした自伝的記憶の想起例もあります。
皆さんが子どものときに大好きだった絵本は何でしょうか。もう一度読み返してみませんか?今だからこそ感じる絵本への新しい気持ちも生まれるはずです。もしかしたら、絵本を通して子ども時代の自分に巡り合えるかもしれません。
 生涯に亘って、一冊の絵本が心の中にあり続けること。その土台を作ってくれた人に感謝するとともに、子どもたちの心にお話の種を蒔くことができる保育者を目指したいですね。