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研究室レター

身体活動とこども

塩野谷 祐子准教授
専門
健康教育
身体教育

「身体活動」という言葉には、運動遊びやスポーツなど特別に時間を確保して体を動かすことと、生活の中で体を動かすこと、この両方が含まれます。健康維持にとって座位時間を短くし、普通歩行以上の強度の活動を一定時間生活に組み込むことが大切で、その基盤を作るのが幼児期と言われています。2012年には、文部科学省が幼児期運動指針を策定し、①「多様な動きが経験できるように様々な遊びを取り入れる」、②「楽しく体を動かす時間を確保する」③「発達の特性に応じた遊びを提供する」(『幼児期運動指針普及パンフレット』より)ということをポイントとして挙げています。楽しく体を動かす時間には、運動遊びだけではなく、散歩やお手伝いなどの生活活動も含まれ、「身体活動」を様々な場面で実施していくことが必要となります。また、幼児期は様々な動きを経験することが大切とされていますが、生活の機械化や電子機器での遊びの普及などにより、大人が環境を工夫しなければ、こどもはどんどん身体を動かさなくなり、昔のこどもに比べて動く経験が少なくなってきています。運動遊びは、例えば、普通に走る鬼ごっこを、サイドステップ鬼、すわり鬼、ほふく前進鬼、と移動の仕方をアレンジするだけで、経験する動きの幅が広がります。生活においては、いつもエスカレーターを利用している場合には、無理のない範囲で階段を利用する、買い物袋を大人だけが持っているのであれば、子どもが持てる分だけ別の袋に入れて袋を持たせて家まで帰るようにする、などほんの少しの工夫で多様な動きが経験できたり、活動強度が高まるのです。「運動が得意でなくても、身体を動かすことが好きでいてほしい。そして、そのまま大人になって心身健康で過ごしてほしい。」それが私の願いです。
「運動が得意でなくても、身体を動かすことが好きでいてほしい。そして、そのまま大人になって心身健康で過ごしてほしい。」それが私の願いです。