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2019年の宝仙学園

学校法人宝仙学園 理事長 冨田道生

宝仙学園の伝統と未来

変化の激しい時代にあって

 昨年は、創立90周年を迎え、記念事業・式典ともにとどこおりなく無事終了しました。 ご支援・ご協力をいただいた関係者の皆さま方には本誌面を借りて御礼申し上げます。今後 は、次なる100周年に向けて、学園が一体となって力強く歩んでいきたいと思います。
 さて、次代に向けて新たな第一歩を踏み出した宝仙学園ですが、10年後はどんな学園に なっているのか。未来を展望するにあたって、さまざまなことを思い考えます。特に今日の ような変化の激しい時代にあっては、時代の変化に対応しつつも、時代を見据え、時代に流 されない、しっかりした立脚点を保つことが大事となります。その支柱となるのが、建学の 精神であると考えます。そこでこの機に、現代社会・未来社会と建学の精神について考えて みたいと思います。

 

情操教育の意義

 著しいスピードで情報化・機械化が進展しています。情報化・機械化は私たちの生活を便 利なものにする一方、情感のない社会を生み出し、ややもすれば人間性を失いかねません。 そして時には人間的な行為から逸脱することもあります。昨今、テレビや新聞等で人間性を 疑うような事件を、また日常の生活においても礼儀・節度・立居振舞など品性の欠けた行為 を見聞きすることが多くなりました。これは人間が成長していくうえでその基礎となる「情 操」が育っていないからであり、教育でいえば、知識面に多くの目がいき、情操面に目をやることがおろそかになっているからだと思います。豊かな情操は心の安定を導き、心の安 定は物事を正しく判断する能力を養い、生きる力を高める。つまり情操は人間力の源泉であ り、最も大切な教育のひとつなのです。
 宝仙学園は創立以来、「品格と知性を兼ね備えた人を造る」教育を行っています。この中 の「品格」は、いまの時代に求められる豊かな情操を指しています。私は学園での仏教行事、 たとえば両大師祭のときなど、折にふれ「仏さまの話」をします。自然のうちに人の行為や 心について考えてもらいたいからです。現代そしてこれからの社会を想うと、ますます情操 教育が大事になります。建学の精神の意義を改めて考えたいと思います。

 

伝統の先進教育

 AI(人工知能)やロボットが人間生活に浸透してくる時代、またインターネットが人間 社会を覆う時代となりました。高度に発達した情報化の波は教育の分野にも押し寄せていま す。ここ数年で教育の方法は大きく変わり、教育現場では最先端の機器が活用されるように なりました。宝仙学園においては、早い時期から電子黒板やiPad を導入するなどICT 教育 を積極的に進めてきており、その意味では時代に先駆ける教育を行ってきたといえます。
 この先進的な教育は宝仙学園の伝統でもあります。
 宝仙学園は、弘法大師(空海)が創った、わが国初の私学「綜藝種智院」(しゅげいしゅ ちいん)に倣って創設されました。綜藝種智院では、それまでの官吏を養成する国学(学校) とは異なり、広く庶民に門戸を開放し、あらゆる学問を探究する、自由闊達な教育が行われ ていました。いまの時代でいう先進教育が行われていたわけです。綜藝種智院に倣った宝仙 学園も、その時代時代の先を行く教育を進めてきました。すなわち先進教育は宝仙学園の伝 統なのです。
 未来社会を想像すると、AI やロボットが人間社会を管理し、人間の機能が改めて問われ る時代となるかもしれません。そうした時代にこそ人間本来の「知性」が必要となります。 その知性とは、知識に偏るのではなく、体験に基づいた知恵を中心におくものでなければな りません。人間の持つ機能を十分に生かした知性こそ大切になります。その意味では、AI やロボットをツールとして自在に使いこなす、人間主導の行為こそ、これからの時代の知性 といえます。
 このように現代社会・未来社会を考えると、建学の精神が時代を超えて生き続けているこ とがわかります。それは建学の精神が人間の本質を究めているからだといえます。90年に わたって連綿と生き続ける建学の精神の普遍性を再認識する次第です。

 

一人ひとりを確実に育てる教育

 2019年度時点で、宝仙学園で学ぶ学生・生徒・児童・園児は2,402名となりました。規模 的には小さな学園ですが、中身は充実した学園であると自負しています。今後は、さらに質 実のある学園をめざして、教育施設・教育環境の整備に取り組んでいく考えでいます。併せ て宝仙学園の教育の特色を生かし、昨年も提唱しました、一人ひとりを確実に育てる教育、 一人ひとりに目が行き届く教育、一人ひとりに寄り添う教育を推し進めていきます。
 教師と生徒との距離感の近さ、教師への親しみやすさこそ宝仙学園の特色です。これを学 園の伝統文化として、これからも大切にし未来へとつなげていきたいと思います。

 

2019年4月

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